始めは、ほんの少しの出来心だった。

「ミサカはぶらじゃーをしてみたい!ってミサカはミサカはあなたに頼み込んでみたり!」
無邪気に言ってくる子供を容赦なくチョップで黙らせると、一方通行は深々とため息をついた。まっ平らの胸を張った子供の手を引くと、部屋に設置してある全身鏡の前に放り出す。
「遠まわしだけどあなたの気持ちはよぉおおおくわかった、ってミサカはミサカは馬鹿にした感全開のあなたを睨みつけてみる」
キッと見上げてくる打ち止めだが、立っている一方通行の方から丸見えになっているキャミソールの下の胸はまったく盛り上がっている様子がない。大体この角度から先っぽが見えてしまっている時点でブラジャーもクソもないだろうと一方通行は思う。
「オマエ、あの手の下着が何で必要かわかってンのか?」
「み、ミサカの胸は将来成長するんだもん! その時後悔したって遅いんだから!ってミサカはミサカは大主張!」
「成長、なァ……」
一方通行はぼんやりと妹達やそのオリジナルである第三位の体の一部を思い浮かべた。微、微、微、微――まぁ皆同じ遺伝子持ちなのだから仕方ないと思うが、打ち止めの胸が成長する要素は皆無と言えた。それに思い至ったのか、打ち止めも詰った表情をする。
「い……今から頑張れば何とかなる……よね、ってミサカはミサカはあなたに同意を求めてみたり」
無意識なのだろうが、振り返って上目遣いで聞いてくる子供はどことなく泣きそうにも見える。何気ないその表情が――ふと一方通行の悪戯心を刺激した。
「アー……頑張れば、なァ?」
すとん、と腰を下ろして打ち止めの後ろに陣取ると、一方通行は後ろから手を回して服の上から打ち止めの胸に触れた。
「ひゃっ」
小さな声が上がるが一方通行は無視した。しばらく手のひらで触ってみたが、見た目通りのまっ平らな胸は揉み心地もクソもない。というか少し心配になるくらいに胸がない。
(オイオイオイオイ、洒落になンねェぞ)
一方通行はしばらく服の上から触り続けたが、あんまりにもあんまりな感触だったので、そのまま服の中に手を突っ込んだ。だが着痩せする以前の問題だったらしく、打ち止めの胸は直接触ってもまっ平らだった。
(………………ってオイ、)
そこまでしたところで、ふと我に返った一方通行は顔を上げた。目の前の鏡に打ち止めと自分の姿が映っている――顔を赤くした子供と、その子供の服の中に容赦なく手を突っ込んでいる自分の姿が。
「……ぁっ、ふ、」
耳に響いた打ち止めの声が子供らしからぬ艶を含んでいて、一方通行は固まった。さっきよりも激しく上下している打ち止めの胸の感触が急に現実味を帯びてくる。膨らんでいないだけで、腕の中の子供の胸は温かくて酷く柔らかい――そんなことに今更ながらぎょっとする。
(…………オイオイオイオイ)
というか、この状況は何だ? 明らかにさっきまでと違っていて、遊びだ、と言い切れない雰囲気がじわじわと浸透し始めていた。一歩間違えなくても、立派な性行為だ。子供相手にすることではない。慌てて手を離そうとする一方通行だが、痺れたように体は動かない。
 そのまま何も出来ずにいると、鏡の中の打ち止めの手が止まっている一方通行の手にゆるゆると重なった。
「んっ」
そのまま、打ち止めは一方通行の手を自分の胸に押し付けた。
「……あっ、……ふ、ふぁっ!」
最初はゆっくりと、だがその手は徐々に激しくなっていく。打ち止めの小さな突起が手のひらの中で硬くなっていくのが分かる。少し強めに手を押し付けると、腕の中の子供は僅かに身じろぎをした。それでも打ち止めは重ねた手をどけようとしない。どちらともなく息が上がっていく。どっちが手を動かしているのか、分からなくなる。
 一方通行の指が打ち止めの小さな突起を擦り上げた瞬間、打ち止めの唇から一際大きな声が漏れた。
「んっ……や、あっ、ぁ、ああ!」
びくっ、と腕の中の打ち止めが体を突っ張らせた後、ゆっくりと後ろに倒れこんで体を一方通行に預けてくる。肩で息をした打ち止めを抱きとめた一方通行は、何となくそうするのが本当な気がして、彼女に口付けた。



 一方通行は全くぴくりとも反応しない自分の分身を見下ろした。
(…………やっぱ違ェよなァ)
パソコンの画面にはさっきから様々な画像が映し出されていた。下は二桁ギリギリから上は何十代か分からないぐらいまでのあられもない格好をした女性達の画像を、頬杖をつきながら取り合えず片っ端から眺めていた一方通行である。それなりに反応を示す画像もあったものの、大体は同年代の少女達の画像であって、間違っても出るところが出てない子供体型の少女のそれではなかった。
(ってことはやっぱ気のマヨイってか……そうだよなァ)
とは言え、年端も行かぬ子供に手を出しかけた事実は消えない。手のひらに残った感触も、消えない。
「なンだってンだよ、ったくよォ」
心の中に甦りかけた衝動を敢えて無視すると、一方通行はパソコンの電源を落として立ち上がった。


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画像はつっちーコレクション……海原コレクションは美琴隠し撮り画像(ギリギリ健全)なので却下されました
単なる乳もみの癖に長い話になってしもた。一方さんがいやらしいからいけないんだ(多分


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