2/14と対になる形でまたもや菓子会社の陰謀の日がやってくる。3/14はその名もホワイトデー――バレンタインデーに貰った気持ちに返答するというこの上なく面倒なイベント日だ。
(……………………面倒くせェ)
一方通行はため息をついてカレンダーを眺める。本来なら軽く無視してしまいたいところだが、街を歩いていてもテレビをつけても、はたまたは家で同居人たちと過ごしていても『3/14はホワイトデー』と喚起されてしまうのだからどうしようもない。

『今日と明日は取り合えず夜までは外出するじゃん? 思う存分やることやるじゃん!』
 ――何がやること、だ。オマエ、ホントに教師か?
『じゃあ私もたまには外で時間を潰そうかしら』
 ――オイ、年がら年中ヒキコモリの癖に、こんな時だけやる気出してンじゃねェ。

「あっしったはー、ホワイトデー!ってミサカはミサカは心待ちにしてみたり!」
そして何より傍らのこの子供が、日本人特有の美徳である奥ゆかしさ、というやつをどこかに置き去りにして、あからさまに期待の目を向けてくる辺りがどうしようもない。
「オイ、あと24時間くらい大人しく出来ねェのかよ、クソガキ」
はしゃぎ過ぎてテーブルにぶつかりそうになった打ち止めの首根っこを掴むと同時に、一方通行はしまった、と思う。案の定打ち止めは意地の悪い笑みを浮かべて、一方通行を見上げた。
「えらいえらい、ちゃんと覚えてたんだね、ってミサカはミサカはますます期待に胸を高鳴らせてみる」
『忘れてた』という言い訳を取り上げられた一方通行は、深々と本日二回目のため息をついた。ニコニコと当社比2倍の笑みで期待を隠そうとしない打ち止めに、頭が痛くなってくる。とにかく、どうにかして何かしらのものを用意するしかなさそうだ。
(どォしたモンか――)


→黄泉川に相談する
→芳川に相談する
→取り合えず外をぶらつく


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